[2-A-1-05] 我が国の医療ビッグデータ活用の設計図
Next Generation Healthcare Infrastructure Law, anonymization, certified agent, use of anonymized medical data
医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成29 年法律第28 号)(略称「次世代医療基盤法」)は、平成29 年5月に公布、平成30 年5月に施行された。これは、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関し、匿名加工医療情報作成事業を行う者の認定、医療情報及び匿名加工医療情報等の取扱いに関する規制等を定めることにより、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進し、もって健康長寿社会の形成に資することを目的とするものである。
こうした仕組みの整備により、主務大臣による認定を受けた匿名加工医療情報作成事業者が、大量の健康・医療データを円滑に収集・匿名加工し、産官学を問わない利活用主体へ提供することで、治療選択肢の評価等に関する大規模な研究の実施や、医薬品の副作用の効果的・効率的な把握が可能となるなど、健康・医療分野の研究開発が促進されることが期待される。
また、「次世代医療基盤法」に基づき、認定匿名加工医療情報作成事業者がデータ利活用基盤として適切に機能するためには、医療情報の提供に関する本人・患者や医療情報取扱事業者の理解を得ることが不可欠である。このためにも、匿名加工医療情報の利活用により実現される多様な成果を、健康・医療・介護の現場、ひいては、本人・患者に還元していくことが重要である。
これらを踏まえ、「次世代医療基盤法」の取組について概説し、健康・医療データの利活用に関する可能性への期待を示すとともに、健康・医療戦略の改定等の政府の健康・医療政策の最新動向などを説明したい。