本事業では、実証4施設及び4ベンダーと協働して、ベーシックアウトカムマスター（BOM）を使用し、システムベンダー間で相互運用性のある標準的なパスデータを入力可能なパスシステムと複数施設において診療プロセスデータを、蓄積、出力する標準構造であるリポジトリ構築と実装に取り組んだ。現時点で全実証4病院にて標準データリポジトリから、標準フォーマットでのデータ出力が可能となり、パスをアウトカム解析基盤のデータ源とすることが可能となった。
　次に施設間の統合データ解析を目的としてAzure（Microsoft社製）に解析基盤を構築した。解析基盤では各施設からのデータを横断的に一元管理し臨床現場からの多様な可視化及び解析ニーズに対応できる解析プラットフォームの提供を可能とした。
　さらに各パスごとに4施設の臨床実務担当者とチームを編成し、解析基盤に収集された4施設統合データを可視化、解析した結果をもとに4施設パスの基本形であるひな型パスの改定について具体的検討を行った。
　今回は本事業及び解析基盤の概要を報告し、その成果である各施設から出力された標準的な診療データを用いたベンチマーキングや統合解析がどこまでで可能となったのか、また可視化、解析結果が臨床実務担当者との議論を通じてどのようにパス改定や医療の質改善、標準化につながるか？についても紹介する。
　最後に本事業では参加4病院のみならず、事業終了後も標準パスシステム普及を目指しており、できるだけ多くのパス利用病院でデータ利活用、並びにより精緻な診療プロセス解析が可能となることを期待している。そのために次世代医療基盤法に基づくデータ利活用を可能とする解析基盤の構築も実施しており、現在、上記の解析基盤と同データ（パス、DPC、SS-MIX2）の格納を完了した。この解析基盤でも順次解析を実施する予定としており、その現状と展望についても紹介する