Japan Association for Medical Informatics

[2-A-4-03] ePathデータに基づくカテーテルアブレーション治療経過の可視化と臨床研究での活用

*Tetsuya Matoba1, Jun-ichiro Koga1, Takanori Yamashita2, Takuo Tsurugi3, Hideki Nakaguma3, Takahiro Jinba4, Yoshifumi Wakata5, Hidehisa Soejima3, Naoki Nakashima2 (1. 九州大学病院循環器内科, 2. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター, 3. 済生会熊本病院, 4. NTT東日本関東病院, 5. 徳島大学病院病院情報センター)

Atrial fibrillation, Cather intervention, Cardiovascular medicine


研究の背景
AMED「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」事業(ePath)において、九州大学病院(N=73)、済生会熊本病院(N=238)、NTT東日本関東病院(N=11)で行われた、不整脈に対するカテーテルアブレーション治療のePathデータを解析した。

結果
患者背景として、カテーテルアブレーションの原疾患はN=298 (93%)が心房細動、そのうち66%が発作性心房細動であり、施設間の差を認めなかった。年齢中央値は64.0歳、男性はN=216 (67%)であった。
入院期間および合併症の解析では、術後在院期間は平均3.4±1.7(日)であったが、九州大学病院において退院延長が多く生じる傾向にあった。退院延長と直接関連するクリニカルパス上のバリアンスは認めなかったことから、DPC様式1病名および診療録の確認を行ったところ、有意な穿刺部合併症例(N=1)が見出された。その他、既知のカテーテルアブレーション合併症である、感染症および心タンポナーデは認めなかった。

考察
多施設におけるePathデータの解析は、クリニカルパス改善点の発見の契機となった。手技合併症に関わるアウトカムと観察項目は原疾患に特化した項目に改修することにより、合併症の早期発見および重症化予防の効果があると推察された。また、感染予防目的の抗生剤投与は1施設においては行われていないにもかかわらず感染症例は見出されなかったことから、予防的抗生剤は不要であるとの臨床上の仮説創出につながった。

結論
ePathデータの解析により、異なる電子カルテベンダーを採用する多施設においてカテーテルアブレーション治療過程の比較が可能となった。施設間で連携のうえでePathの改修を進めることにより、治療の標準化と臨床研究の基盤が提供できることが示唆された。