一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-1-04] ビッグデータの医療施策等への応用と今後の活用

*小林 大介1 (1. 神戸大学大学院医学研究科医療システム学分野)

Big data, Real world data, Health policy


近年、政府においても医療分野におけるデータ活用の推進を重要視しており、厚労省によるデータヘルス改革をはじめ、関連省庁による取り組みも進められており、医療関連のビッグデータやリアルワールドデータ(RWD)は国策の中でも大きなウエイトを占めてきている。そのような中で、質の高い医療の提供へ向けた研究・分析は大変重要なわけであるが、特にエビデンスに基づく医療政策、また情報連携に基づくより有効な医療提供の実現が、限られた医療資源の再配分・有効活用にも寄与すると考えられる。ビッグデータを活用した医療施策の例として、2019年9月に行われた地域医療構想に関するワーキンググループにおいて、具体的対応方針の再検証要請対象となる424病院の公表にあたって、病床機能報告データを用いた分析が行われたことが印象に残っている方も多いであろう。しかしその際に分析された診療実績は、公開される2年前の、しかも6月1ヶ月分の実績データであったことや、その実績値の確認が県や医療機関側からできない形であったことなどもあり、非常に混乱した。そこで愛知県及び兵庫県においては、県内の医療機関よりDPCデータを収集し、なるべく最新のデータで年間実績を分析し、例えば医療計画の中間見直しに向けたデータ提供や、地域医療構想調整会議における議論の土台となるデータの提供を行いつつある。最新のデータを収集し分析する仕組みにインターネットは欠かせなく、その仕組みについて紹介するとともに、今後の発展(予定)と、分析結果の医療施策へのさらなる応用、そして今後患者・市民へ向けた情報提供への連携という未来についてお話しする。