一般社団法人 日本医療情報学会

[2-C-2] パンデミックを含む災害時の糖尿病管理と医療情報

*中島 直樹1 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター)

disaster, pandemic, diabetes mellitus, management, ICT


日本医療情報学会と日本糖尿病学会は2007年度以降14年間にわたり相互の年次学術集会において、共同企画を開催してきた。また、2011年8月には両学会の常置合同委員会として「糖尿病医療の情報化に関する合同委員会」を設置し、生活習慣病ミニマム項目セットやPHR推奨設定などを策定し、公開してきた。
その間、東日本大震災(2011年死者不明者22,288名)、熊本地震(2016年死者273名)と大きな地震が生じ、多くの中小地震も頻発した。また、台風、水害、土砂崩れ、噴火など他の自然災害においても毎年多くの犠牲者が出ると同時に、多くの避難者が発生しシェルターや仮設住宅での厳しい環境で過ごすことを強いられてきた。特に糖尿病などの慢性疾患患者は、恐怖や不安、劣悪環境に伴うストレス下で、食生活や水分の管理、インスリンや内服薬剤の継続、合併症発症の管理などを継続せねばならず、大きな負担を強いられてきた。日本糖尿病学会では「災害時糖尿病医療支援活動ワーキンググループ」を設置しICTを用いた災害発生時の糖尿病患者への支援の検討を始めている。このように両学会が共同でなすべきことは多く残されている。
そのような中で、異なるタイプの「有事」である2020年のCOVID-19パンデミックが重ねて発生した。このような有事はいつ、どこでも、誰にでも起こることを再認識する必要があることを学んだ。さらには、パンデミック下での災害発生では従来と比べてどのような差が生じるか、糖尿病症例がどのような問題に直面し、ICTなどを最大限に使って対応することが可能か、有事が発生する前の平時にはどのような準備をしておくことが現実的か、などを検討しておくことは重要である。本ワークショップでは、4名の異なる経験をお持ちの演者にご登壇いただき、講演、パネルディスカッションを経て議論を深めたい。