[2-C-2-01] オンライン診療とコロナ禍における対応
Telemedicine, Diabetes, Primary care
当院では2016年から準備を開始し、2017年初頭より、オンライン診療の実運用を開始した。保険点数評価すら無いところからの出発だった。平成30年診療報酬改定では、初めての保険適用に期待が高まったが、適応条件・範囲も厳しい上に評価点数は望外に低く、積極的にオンライン診療を拡大する医療機関は限られたものとなった。当院は東京都心の中規模地下鉄駅近くのビル診であり、主な診療圏および患者層は周辺在勤の方々である。治療成果を担保しつつ、利便性が確保できると予測できる症例を中心に惜しまず適応を行った結果、本年初頭までに保険適応で400名程の患者に対してオンライン診療を行ってきた。令和2年診療報酬改定において、適応条件の緩和・範囲の拡大が予定されていたところにコロナ禍が訪れた。政府は「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱い」として、枠組みとしてはあくまでも電話再診等の拡大としての位置づけではあるものの、これまでの流れから考えると、1ヶ月半で10年先に進んだかのような大幅な規制緩和を行った。もともと患者層として在勤者の多い当院では、通院そのものへの抵抗感や、在宅勤務の浸透と共に患者数が減少したが、かかりつけ患者は柔軟にオンライン診療の選択肢を活用し、オンライン診療の利用患者数は一気に200名ほど増加した。この中には4月10日付で解禁された初診患者も含まれる。診療報酬制度の解説は他の機会に譲り、今回は、この経験を踏まえ、市井の臨床現場からの現状分析、課題、今後の展望について考えてみたい。