Japan Association for Medical Informatics

[2-C-2-02] ポストコロナの糖尿病自己管理・患者教育環境の変化と対応

*Kayo Waki1 (1. 東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻医療情報学)

COVID-19, Diabetes self-management, ICT/IoT, DialBeticsPlus


【背景】新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症COVID-19は2019年12月中華人民共和国の武漢市で集団発生が報告され、短期間にパンデミックをきたすに至った。本邦でも感染拡大をコントロールするため、在宅勤務が推奨されるなど、社会全体でオンライン化が進められている中、医療においても時限的・特例的な取り扱いとして初診からオンライン診療が可能となり、医療におけるオンライン化の促進も期待されている。
【目的】ICT/IoTシステムの利用者を対象にCOVID-19の感染拡大が糖尿病患者の生活習慣に与える影響を調べる。
【方法】当研究室では2009年からモバイル医療の研究を進めており、生活習慣病の患者を対象にICT/IoTシステムを開発し、同システムを用いた自己管理支援と臨床研究を行っている。現在、ICT/IoTシステムを用いた2つの臨床試験のいずれかに参加中の被験者52名(DialBeticsPlus23名/GlucoNote29名)を対象に4月中も毎日歩数を計測した歩行継続群(CW)とそれ以外の非歩行継続群(NCW)の2群に分類してCOVID-19の感染拡大前後の歩数の変化を調べた。
【結果】DialBeticsPlusの参加者において4月19日の平均歩数はCW群6002.5±4228.3歩、NCW群4870.3±1541.2歩であった。一方、GlucoNoteの参加者においては4月19日の平均歩数はCW群8077.2±5181.7歩、NCW群5870.4±4636.5歩であった。COVID-19の感染拡大前に比較してNCW群においては感染拡大後に歩数が減る傾向にあった。
【考察】外出自粛の際にも在宅で実施可能な運動メニューの提案等、ICT/IoTシステムの機能としてSARS-CoV-2と共存しながら健康的な生活習慣を維持する「ウィズコロナ」への対応が必要であると考えられた。