Japan Association for Medical Informatics

[2-C-2-04] 災害時の被災した糖尿病患者の把握と薬剤配布

*KEIZO ANZAI1, Shinichiro Ishikawa1, Toru Miike1, Yuichiro Sakamoto1 (1. 佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科)

Diabetes Mellitus, disaster, Application


【目的】東日本大震災時の経験から糖尿病医療支援チーム(DiaMAT)の体制作りが必要とされ、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会が中心となり、熊本地震後にDiaMATの構築と活動の協議が開始。発災時にはIDDM患者に迅速にインスリン製剤を供給する必要があり、熊本地震時には被災地への供給は行われたが、個々の患者の場所確認が出来ず患者への供給は不十分であった。そのため超急性期にDMATとDiaMATが連携するシステムが必要である。佐賀大学では内科と高度救命救急センターが連携して糖尿病を含め災害時の2次的健康被害への対策を構築することとなった。【方法】病院施設内に設置した災害情報支援センターで健康情報を管理し、災害時にはその情報を活用。情報の入力デバイスとしてスマートフォンを利用することでGPS機能による患者の避難場所の特定や、被災による薬剤紛失情報を受けることが可能となる。災害時にはIDDMだけでなく、副腎不全、尿崩症、てんかん発作、呼吸不全など早期の介入が必要な患者にも対応できるシステムとしたが、まずは「糖尿病患者支援アプリ」として開発。平時には内服薬の情報をスマートフォンのカメラを利用しQRコードで登録し、災害時には、インスリンなど休薬が危険な薬剤の紛失情報をいち早く把握し、GPSを活用した早期の援助を可能とした。本アプリをIDDMネットワークと共同で116名のIDDM患者に提供し、アンケート調査を施行。【結果】アプリの操作について、とても簡単:50% 、どちらかといえば簡単:46%、役に立つかについてはとても役に立つ47.4%、どちらかといえば役に立つ46.6%であった。【考察】操作は簡便で利用価値が高いことが確認できた。現在平時より災害時に必要な備蓄薬剤情報を把握し、災害直後の施設別薬剤ストック情報とアプリによる患者保有薬剤情報により薬剤を患者の元に届けるシステムを構築した。