Japan Association for Medical Informatics

[2-D-2-02] 検査値パターンマイニングによる入院時検査回数適正化手法の開発

*Ryosuke Matsuo1, Tomoyoshi Yamazaki1, Kenji Araki1 (1. 宮崎大学医学部附属病院病院IR部)

Laboratory tests, Utilization management, Hospital length of stay


目的:手術前後の検査値の変動パターンに基づいて,在院日数への影響という観点から,疾患ごとで適正な検査の実施について探索的に分析する.
対象と方法:宮崎大学医学部附属病院のデータウェアハウスの2006年5月より2018年3月までの検査データを用いた.対象は全身麻酔をされた入院患者として,該当入院患者数が100名以上のDPCの2桁ごとで,退院前に1回以上の検査がされた項目について,術前と術後の検査値の変動の有無による在院日数の有意差を検定した.術前は入院日から術前日まで,術後は手術実施日から術後1日まで,退院前は術後3日から退院日までとした.変動の値は術前の最小値と術後の最大値により求め,変動ありは術前の値が平均値±2SD内にあり,かつ術後の値が平均値±2SD外で高い場合とした.
結果:有意差検定のp値が0.05未満でかつ変動ありの入院患者数が10名以上の検査項目とDPC2桁の組み合わせは57個であった.その内,検査項目数は24個,DPC2桁のコード数は10個であった.組み合わせの要素として多い検査項目とDPC2桁のコードについては,検査項目ではCRPが7回,ASTとWBCは5回の組み合わせでみられた.DPC2桁のコードでは消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患が13回,循環器系疾患で11回,外傷・熱傷・中毒で7回の組み合わせでみられた.
結語:探索結果には,例えば,DPC2桁のコードの外傷・熱傷・中毒において,炎症を調べるCRP,WBCの値の上昇の有無が在院日数に影響しており,医学的な解釈が可能なものが含まれていた.そのため,在院日数の観点から,疾患ごとで必須の検査項目を特定できることが示唆された.今後は検査回数の違いによる在院日数への影響の詳細な分析を行う.