Japan Association for Medical Informatics

[2-D-2-04] 病院情報システムのヘルプデスク問い合わせデータの利用者行動指向での整理・分析 ~問題事象の原因に対する利用者とサービス提供者の認識のギャップに注目する~

*Hidehiko Tsukuma1, Akira Ohtahara2 (1. 広島大学大学院 医療情報部, 2. 山陰労災病院 医療情報管理室)

Hospital information system, User support, User behavior, User-oriented, Service improvement


【背景】病院情報システムのヘルプデスクのQ&Aデータを業務改善に利用した報告はいくつか存在する。しかし、ハードやソフトに注目して業務や職種等でQ&Aを分類してマクロな傾向を把握するため、利用者目線で問題点の改善策を見出すのには不向きで即時性にも欠ける弱点があった。そこで著者らは、事例の原因を「利用者行動/機能・性能・機器/運用/教育・広報/組織的対応」の5つに分類し前記の弱点に対応する論理モデルを提案し[1](医療情報学36(3))、活用可能性を検討した[2](医療情報学37(Suppl.))。
【目的】文献[1]と[2]の枠組みを発展させた「Q&Aの分類と進捗管理モデル」を提案する。更に、[1]で提案した「利用者行動指向のQ&A分類フラグ」に対応したQ&Aデータを用いて提案モデルの有用性を検討する。
【方法】提案モデルで事例を(1)「業務遂行中に発生した事象」とそれ以外に分類し、(2)Q&A対応を「Ⅰ初期対応の管理/Ⅱ事例単独での追加対策の管理/Ⅲ事例横断的な視野での追加対策の管理」の3フェーズで処理した。特に第Ⅱフェーズでは「問い合わせ者が認識した事例の原因とヘルプデスクが把握したそれとにギャップがあるか?」を把握した。2019年11月から2020年1月のA病院の全Q&Aデータ636件をエクセルで処理して有用性を検討した。
【結果】「業務遂行中に発生した事象」とそれ以外では、前者の方が問い合わせ者への平均回答時間が短いことが確認された。また、例えば利用者は「プリンター障害」だと思っていたが、対応の結果「利用者が使い方を知らなかった」ことが原因であることが分かり同様なことが頻出するなら広報・教育対策を考える必要がある、といった事例の抽出が容易になった。
【考察】提案モデルの有用性を示唆する結果が得られたが、今後の活用・評価には本格的な管理・分析ツールの開発・導入が必要である。