一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-2-05] 入院カルテ量的監査システムの開発に関する取組

*酒井 梓1、佐藤 由季1、山口 華代子1、青山 恵里佳1、日下部 龍巳2、山本 健二2、伊藤 豊2、遠藤 晃2 (1. 北海道大学病院 診療録管理室, 2. 北海道大学病院 医療情報企画部)

quantitative audit, Hospital Information System, Health information manager


【背景と目的】
 当院は924床の特定機能病院であり、2019年の退院患者数(転科を含む)は19,231名であった。医療文書は電子化され医療情報システムで管理しているが、マルチベンダーで作成されるため参照場所が散在している。また、診療録管理室の業務は多岐に渡り、量的監査に係るリソースが不足していることから、退院時要約のみの全量監査に留まっている。このため、退院時要約以外の文書の監査を容易に行うべく、2020年2月の医療情報システム更新に合わせて新たに入院カルテ量的監査システムの開発を行ったので報告する。
【方法】
 新たに対象とした監査記録は、入院時要約、入院診療計画書、転倒転落アセスメントシート、死亡診断書・死体検案書、手術記録、麻酔記録、説明書・同意書、診察記事とし、署名や捺印、日付の記載が必要な文書は、スキャン文書を監査対象とした。表示画面は、1診療科単位、監査対象の文書の有無を判定し一覧表示させた上で、監査文書詳細画面を直接起動し、カルテ画面を経由せず内容が確認出来るようにした。また、監査結果の入力も一覧画面・詳細画面より直接起動し登録出来るようにした。
【結果】
 4社8種類の文書を同一画面上で一覧表示出来るようになった。さらに、作成期日が定められている文書は、期日内に未作成および期日を超過して未作成である場合に強調表示され、早急に作成が必要な文書が視覚的に判断可能となった。詳細画面では直接スキャン文書がプレビュー表示されるため、必要事項の記載漏れの確認が容易になった。監査結果はCSV出力後、集計を行い、各診療科へフィードバックが出来るようになった。
【考察】
 複数種の文書が一覧表示出来るようになったことから、量的監査が可能となった。2020年4月退院患者より量的監査を開始した。現在並行稼働している従来の退院時要約監査システムは、今後は本システムとの統合を目指す。