一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-3-05] 臨床研究支援システムを用いたNCD登録システムの開発

*真鍋 史朗1、服部 睦2、山口 純司2、波内 良樹2、島井 良重3、坂井 亜紀子3、山本 征司3、武田 理宏1、小西 正三1、松村 泰志1,2 (1. 大阪大学大学院医学系研究科 情報統合医学講座 医療情報学, 2. 株式会社エムケイエス, 3. 大阪大学医学部附属病院 医療情報部)

National Clinical Database, Clinical Study, Templates, Electronic Medical Record


外科系の医師が専門医申請を行うには、参加学会に関連する手術・治療の情報を一般社団法人National Clinical Database(NCD)が構築しているデータベースに登録する必要がある。症例情報の登録は、csvファイルをアップロードする方法もあるが、一般的にはWebブラウザで直接入力する方法が用いられ、電子カルテに入力されたデータを手作業で転記しなければならない。そこで、我々は臨床研究支援システム(CDCS)を応用し、登録用csvファイルを生成するシステムを構築し、実際に運用した。
情報入力のタイミング毎に手術に関する情報を9つのイベントとして設定し、9つの電子カルテ用入力テンプレートを作成した。CDCSにはcsvファイルに必要な全てのデータを含んだ入力フォームを作成し、電子カルテの情報を自動引用するように設定した。医師はNCD登録対象患者の情報を、電子カルテでテンプレートを用いて入力し、NCD登録補助者はCDCSで電子カルテからデータを引用して入力フォームを完成させた後、csvファイルに変換した。医師はcsvファイルをNCDにアップロードすることで登録作業を行った。
2019年9月~12月に行われた大腸がんを中心とした下部消化管に関する手術症例58件を対象とした。全ての電子カルテテンプレートが入力されていたのは45例、そのうち、テンプレートの入力項目が全て入力されていたのは27例であった。最も修正を要したテンプレートは「手術入院」に関するものだった。入力されていない項目は患者の郵便番号が最も多く、入力漏れを防ぐ方法を検討することで、さらなる省力化を実現することが可能と考えられた。また、電子カルテテンプレートで入力した項目値は様々な臨床研究に引用することができるため、今後は複数の臨床研究で共通のテンプレートを作成し、研究支援を進める予定である。