Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-03] DPCデータ様式1の入院後発症疾患名について

*Takako Nakamura1, Takako Nakamura1, Hinaka Toyama2, Michio Kimura1 (1. 浜松医科大学, 2. 医療データサイエンス研究所)

DPC data, the reliability of the complication disease name, alliance valve symptom, regurgitant esophagitis


【背景】DPC調査データは対象病院統一データ形式であり、厚労省で集計・公表される。各医療機関は全国標準と比較でき、病院経営の他、臨床研究にも用いられるデータベースでもある。「次世代医療基盤法」が2019年に施行されたことから、認定事業者によるデータ活用、分析が行われることが予想される。対象であるDPCデータの様式1の入院後発症疾患名について信憑性が疑われる。

【目的】入院後発症疾患名における問題点の所在の検討

【対象】 国立大学法人 2010年度~2017年度DPC調査データ(様式1とEFファイル)(90,024件)

【方法】

(1)連合弁膜症(最も医療を投入した傷病名)の、合併症(逆流性食道炎)患者を抽出する。

(2)全症例を対象に連合弁膜症とその他の疾患に分け、発症率、在院日数について2群に分け有意差検定を行う。 

(3)連合弁膜症における合併症の有無による治療薬の使用率について、2群に分け有意差検定を行う。

(4)診療録をチェックする。

【結果】全症例対象の連合弁膜症とその他の疾患の比較では、連合弁膜症において逆流性食道炎の発症率が有意に高かった。連合弁膜症の合併症有無の比較からは在院日数に有意差は認められず、治療薬の使用率においても有意差は認められなかった。合併症は発症していなかったと考えられた。

【考察】DPCデータは保険医療制度下における保険請求データである。実際に薬を使ったり、処置をしていたらそれに該当する保険病名を登録しないと査定されるので、保険病名を登録する。

様式1の診断情報(主傷病、入院契機、医療資源、医療資源2、併存症、続発症)は原則としてレセ電算傷病名マスターから選択される。入力要項からは保険病名は排除される目的が感じられるが、保険上の病名が登録されていたことは、仕組みと運用上に問題があると考える。