[2-E-1-04] 脳梗塞患者における入院3日以内の早期食事開始が退院後転帰に及ぼす影響(全国DPCデータを利活用した傾向スコアマッチングによる効果検証)
Diagnosis Procedure Combination, Machine Learning, XGBoost, Propensity Score Analysis, Discharge Destination
目的:脳梗塞は退院後も後遺症による転院や施設入所を要する場合が少なくなく、入院早期の食事の有無による家庭退院の効果検証を行うことで適確な退院支援への示唆が得られれば、家族や医療者の負担が軽減すると考えた。大規模DPCデータを活用し早期食事による家庭退院効果を、傾向スコアを用い検証した。
対象:2014年〜2019年までに全国380施設で脳梗塞(MDC6:010060)にて入院した235,549例。DPCデータはMDV(株)から入手した。医療資源を最も投入したICD-10がI63以外/20歳未満/入院日数3日未満/死亡退院/発症8日目以降又は無症候性入院/データ不備・未記載項目などを除外し41,477例が対象となった。
方法:xgboostを用いた機械学習(5-分割交差検証)にて共変数抽出を行った。モデルの説明変数はDPCデータ438項目、目的変数は家庭退院とした。重要特徴量では①バーセルインデックス②JCS③入院経路④年齢⑤体重⑥ICD-10:K210⑦認知症高齢者の日常生活自立度判定基準などが抽出された(ROC-AUC:0.85)。次に入院3日以内の食事開始と退院後転帰の関係を検証するために、前述の重要特徴量上位100項目(特徴量スコアの99%)を共変量としてxgboostで傾向スコアの予測値を算出し、キャリパーを伴う1:1最近傍マッチングの手法(非復元抽出)を用いて傾向スコアマッチング解析を行った。
結果:早期食事あり群:対照群各3,573例がマッチングされた。食事あり群では802例が家庭退院し対照群では497例であった。早期食事と家庭退院の独立性は有意に棄却され(p<0.001)、かつ早期食事群は対象群に比べオッズ比1.79倍であった(Fisher正確度検定)。
結語:早期食事の家庭退院有効性が傾向スコアを用いた因果検証により確認された(科学研究費助成事業19K19375)。