一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-1-06] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応したクリニカルパスの実装―患者の状態分類や観察点に関するシステム開発の取り組みー

*福山 麻里1,2、髙木 美由紀1,2、久保 慎一郎1,2、菅野 沙帆1,2、森川 祐美1、大古 美香1,2、喜多 真美2,3、橋口 智子1、中尾 彰宏4,5、水流 聡子4、玉本 哲郎2,6 (1. 奈良県立医科大学附属病院 看護部, 2. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 3. 奈良県立医科大学附属病院 経営企画課診療情報管理係, 4. 東京大学大学院工学系研究科 品質・医療社会システム工学寄付講座, 5. ドクターズモバイル株式会社, 6. 奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座)

Clinical path, Patient Condition Adaptive Path System, Nursing plan, Electronic medical record, Progress sheet


【目的】新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)が世界中に蔓延する中、この新たな感染症に対し、急激に重症化する症例も認め、この疾患に罹患した患者を適切な定義で適切に記録することは大変重要であった。当院では患者状態適応型パスシステム(以下、PCAPS)を採用している。これは医師と協働したツールであり、患者の状態に合わせて問題点を明確化するシステムとなっている。今回COVID-19に対応したクリニカルパスを患者の重症度に合わせた定義を含めて構築したので報告する。

【方法】COVID-19の患者は「疑似症」と「確定例」に分かれており、かつ「重症」「中等症」「軽症」の2×3の分類で表現されることから、患者の状態がタイムリーにPCAPSの「プロセスチャート」上に残せるように構築した。さらに、疑似症患者が否定された時と確定例が陰性化した場合の表現方法も可視化することにより、最終の転記を表現できるようにした。必要観察項目は感染専門医師と看護師にて確定した。

【結果】COVID-19疑いも含め全ての対象患者を順次COVID-19のパスに移行し、パスが適切に選択されるよう毎日監査を行った。患者数が増加していったが、疑似症かどうかと重症度の区分が明確になったことで、一般病棟に入院する患者と重症病棟に入院する患者全てのCOVID-19に関する状態把握が可能となった。
【考察】システムの仕様設計からマスター整備、稼働までを9日で行ったほか、運用説明も稼働日に各部署を回るなどスピード感を重視して構築をおこなうことができた。PCAPSは必要な医療に柔軟かつスピード感をもって対応することができ、患者の治療過程が可視化され、適切なアウトカム評価を電子カルテシステム上で行えることを再認識した。今後も、未知なる疾患や感染症に早期に対応し、医療の質の向上につなげていく必要がある。