一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-2-04] スマートフォンアプリを用いた画像に関するエピソード記憶計測の試み

*土田 史高1、横山 茜1、荒子 貴明1、澤田 詩織1、北村 和希3、田端 俊英2 (1. キュアコード株式会社, 2. 国立大学法人富山大学学術研究部工学系, 3. 国立大学法人富山大学大学院理工学教育部)

Medical application, Remote examination, Episode memory, Psychological examination, Wearable device


アルツハイマー型認知症では、短期記憶とエピソード記憶が早期から障害されることが知られている。エピソード記憶の計測方法としてスマートフォンのアプリを用いて、同一の場所に集まらずに検査ができるように試みた。試験アプリでは先行研究を元に、90枚の画像をランダムに提示し、あわせて分類課題を与え、48時間後に画像を見たことがあるかどうかを問うものである。また、記憶の定着(エンコーディング)が行なわれるタイミングで、有酸素運動をさせることで、記憶が強化されることが知られている。今回のアプリでは、画像の分類課題終了後のタイミングで高負荷運動をする群と、運動をしない群に分けて、ウェアラブル端末を用いた運動の指示と運動量の計測を行ない、それらのデータを収集・分析した。その結果、運動した群では、48時間後に有意に記憶のテストの成績がよいことが示された。今回のアプリを用いたシステムでは研究室に被験者を集めることなく、各自の好きなタイミングで実施できるようにしたことで、忙しい社会人や経営者などもテストに参加することができた。アプリの精度を高めていくことで、働き盛り世代の認知機能・記憶機能を手軽に計測し、認知症の早期発見・診断につながると考えられる。また運動によるエピソード記憶強化の可能性も示されたことで予防や治療への応用も考えられる。それに向けての課題についても検討・考察する。