Japan Association for Medical Informatics

[2-F-1-07] クリニカルシークエンスの現場におけるレポーティングの現状と課題

*Kunihiro Nishimura1 (1. 株式会社テンクー)

Clinical Sequence, Cancer Genome Medicine, Reporting, Data Analysis, Expert Panel


がん遺伝子パネル検査が2019年6月から保険収載され、がんゲノム医療、クリニカルシークエンスが全国でスタートした。がんゲノム医療において、専門医らによる診断、治療の討議を行うエキスパートパネルが開催され、その中で、症例や病理検査結果、その他の結果と合わせて、がん遺伝子パネル検査の結果が総合的に判断される。エキスパートパネルの結果は、エキスパートパネル報告書としてまとめられ、主治医に伝えられる。エキスパートパネルでは一般的に、検出されたバリアントについて公的データベースなどの記載を確認し、臨床的意義付けが行われる。私たちは、このエキスパートパネル報告書やエキスパートパネルの判断材料としての情報を提供するサービスを実施しており、検出されたバリアントとそれに関連する薬剤情報、臨床試験の情報をほぼ自動的にまとめ、レポーティングすることを行っている。このレポーティングを実施する際の裏側として、複数の公的データベースを参照する知識データベースを作成し、遺伝子バリアント、薬剤、臨床試験の情報等を一元的に取り扱う仕組みを構築している。APIを用いて横断的に検索が可能としている。また、検出にあたり、言い回しや揺らぎを吸収する自然言語処理を用いたパラフレーズ検索の仕組みも実装し、一つの言葉でも複数の言葉で記載されている内容をヒットさせるようにし、検索漏らしがない仕組みとしている。このような工夫を取り入れ、臨床の現場、特にエキスパートパネルに役に立つ仕組みを構築し、Chrovisと呼ぶソフトウェアとしてまとめているため、その報告を行う。また、レポーティングの際の項目として、バリアントの他、様々なマーカーが報告されるようになっており、その際の現状と課題について議論を行う。