Japan Association for Medical Informatics

[2-F-2-04] 多機関分散データの統合的利活用による傷害予防のための傷害発生状況の分析

*Koji Kitamura1,3, Yoshifumi Nishida2,1,3, Tatsuhiro Yamanaka3,1 (1. 産業技術総合研究所, 2. 東京工業大学, 3. NPO法人 Safe Kids Japan)

Multi-organizational Distributed Big Data, Injury Prevention, School Safety


子ども、高齢者、障がい者などは、日々生活機能が変化するため、日常生活の中で不具
合が起きており、それらの不具合のうちの1つが事故である。事故を予防するためには、
データにもとづいて事故の課題を見つけ出し、それに対する対策を検討して実施し、その
対策によって重症度を低減できたっか、事故の件数が減ったか、といった指標で効果を検
証する、という一連の流れを繰り返すことが重要である。しかし、課題を発見するための
事故のデータは、個別の機関で収集されることはあっても、機関をまたいで共有したり、
統合することは、個人情報保護、プライバシ保護、情報漏えいなどの課題があるため、積
極的には取り組まれないのが現状である。それに対し、セキュアに多機関のデータを統合
可能な技術をベースに、統合データの利活用技術について研究を行ってきた。著者らの研
究グループでは、特に学校安全を対象に、統合データの活用技術の研究を行っている。
傷害予防を行うためには、何年生で事故が多いなどの単純統計だけでは不十分で、傷害
が発生した状況を分析する必要がある。本稿では、学校環境下におけるプール事故を対象
に状況の分析について報告する。具体的には、プール事故の状況を記述した文章を対象に
テキストマイニング技術を用いて、事故に関連する単語の共起ネットワークを作成し、そ
こから得られた特徴的な単語を特徴量として事故状況の分類と分析を行った。この分析に
より、学校種別に事故状況の特徴を明らかにすることができた。例えば、小・中学校では
、泳いでいるときの衝突などの事故が最も多く、関連するキーワードとして、“プールの
壁”、“他児童”、“プールの縁”、“ゴーグル”といったものが得られ、これらを対象
とした対策を検討することが可能となった。