[2-F-3-03] 医薬品規制領域におけるデータの標準化動向:相互運用性・実装の課題と今後
real world data, data interoperability, data quality, common data model, pharmaceutical affairs
RWD(Real World Data)については国際的に合意された、ただ1つの定義が存在するわけではないが、およそ電子カルテや診療報酬データ等、日々の医療で生成・収集されるデータが中心であり、加えてセルフモニタリングデバイス等から収集されるデータ、患者レジストリー・データ等も含まれる。ICH のGCP Renovationペーパ(Jan 2017)では、近年のリアルワールドから得られる大量データの活用の可能性が言及されるとともに、各種リアルワールドソースから得られるデータについては国際的に合意された標準がないことが大きな障害となっていると指摘されている。RWD/RWE(Real World Evidence)に関わる標準の議論は、ヘルスケアと臨床研究・規制領域にわたることが1つの特徴であると考えられる。ヘルスケア全般を対象とするHL7と、臨床試験を対象とするCDISCには元より連携があるが、近年はCDISCにおけるHL7 FHIRの取り組みがあり、また欧州EMAを中心とする医薬品関係のFHIRリソース開発などがある。また、データ分析に用いるデータベースのためのCDM (Common Data Model)も1つの特徴である。RWEに関する論文に関して、現在「データの質」の問題がクローズアップされている。データの標準とデータの質は、どう関わるのか、これにはデータの質のいかなる点を論じるかを明確にする必要がある。本報告では「データの質」として、1) 要求水準への適合性と、2) 利用目的に照らしての適合性を考え、RWD/RWEで求められるRWDの質向上と、OMOP-CDM、PhUSE、BRIDG、CDMH (Common Data Model Harmonization)等の取り組みに言及しつつデータ標準が目指す「データinteroperability」について考えてみたい。