Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-01] NDBから見るSCRデータを活用した自院の外部環境分析

*Kenji Fujimori1 (1. 東北大学 医学系研究科 医療管理学分野)

National Database, e-claim data, standardized claim-data ratio, NDB, SCR


少子高齢社会に伴う働き手の減少、働き方の変化により医療を取り巻く環境が大きく変わってきている。すでに地方においては患者数の減少が始まり、働き手の確保も難しさを増している。そのような変化に対応するため、医療機関の運営には自院を取りまく外部環境の把握の重要性が増している。

自院が属する当該の地域において、人口構造の変化の把握、予測は可能であるが、そもそも医療提供が過小なのか過剰なのかを把握することは重要である。すでに過剰であれば、今後は急速に提供数が減少していく可能性が高い。一方で、過少であれば一定程度のニーズの掘り起こしが可能であろう。

地域における医療提供状況を把握するため、厚生労働省が保有するNational Databaseを利用し、性年齢調整を行いSCR (standardized claim-data ratio)と呼んでいる指標を内閣府と共同で作成・公開してる。SCRは医療行為と薬剤について、入院・外来別に、都道府県単位、二次医療圏単位、市区町村単位で作成している。医療行為や薬剤は相補的である場合が多いので、一つの項目のみをもって過剰過少を云々することは適切ではないが、関連する医療行為と薬剤を複眼的に把握し、地域における医療提供状況の過少、過剰を判断することができる。過剰なものはさらに伸ばしてゆくことは難しいが、過少なものは拡大の余地がある。

SCRは当該の地域人口を基準として作成するため、外からの流入が多ければ高めに、外への流出が多ければ低めに算出される。本来は受療動向による補正が必要であるが、レセプトには患者所在地を示す情報がなく、現時点では補正が困難である。

内閣府の経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイトで公開している。また一部であるがBIツール化したものをTableau Publicで公開しているので是非活用いただきたい。