一般社団法人 日本医療情報学会

[2-G-2-05] 病院財務諸表オープンデータの予測分析から得られたインサイトの利用

*宮原 勅治1 (1. 川崎医療福祉大学 医療福祉経営学科)

financial statement, predictive analysis, insight, open data


Analytics2.0の時代になり、データ形式、データ量はますます膨大になり、DWHからデ
ータレイク、データシーといわれる管理規模になってきた。その分、データ管理も難しく
なり、管理できないものを無理やり管理するより、出てきたインサイトをそのまま活用し
よう…といった時代になるのではないか、と考えられている。
医療経営においても、情報システムがたたき出したインサイトに対して、どういう統計
処理を経過してその結果が出たのかを、逆行して突き詰めようとするのではなく、出てき
たインサイトを現実の状況に照らし合わせ、どのように活用していくべきかを考える方が
生産的であろう。経営学はサイエンスというより、実用の学問であり、インサイトをその
まま活用するのに適しているように思う。したがって、ブラックボックスの中のアルゴリ
ズムの連鎖に、倫理性が担保されているのであれば、ユーザーとしては、出てきたインサ
イトをそのまま(お気楽に)活用したいものである。
地方公営企業年鑑として公開されている公立病院約880の財務諸表および代表的な非財
務データを集め、Cognos Analytics の予測分析機能を用いて、医業利益率に影響を及ぼす
単体のドライバーを予測した。その結果、公立病院880施設の医業利益率に最も影響を及
ぼすものは、「1日1人当たり外来患者単価(56%)」、「1日1人当たり入院患者単価
(52%)」とのインサイトを得た。一方、独法病院88施設の医業利益率に最も影響したドラ
イバーは、「1病床当たりの経常損失(54%)」であった。
これらのインサイトから、経営の効率を上げるためには、公立病院では外来患者・入院
患者ともに単価の高い(すなわち重症疾患の)患者を集患することが重要であり、一方、
独法病院では、経常損益を出さないよう、過大な費用をかけないことが経営上の改善をも
たらすと考えられた。