Japan Association for Medical Informatics

[2-H-1-01] 高精度放射線治療に対応した遠隔医療を行うための業務の見える化と安全な支援方法の確立

*Tetsuro Tamamoto1,2, Kazuhiro Kawano3, Hiroyuki Nakamura3, Kouji Arai4, Takafuni Ohkoshi5, Rina Hirohashi3 (1. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 2. 奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座, 3. 済生会吹田病院 放射線科・中央放射線科, 4. V-cube, Inc., 5. Varian Medical Systems)

Radiation Therapy, Telemedicine, Visualization, Radiation Therapy Information System


【背景】専門医の少ない放射線治療(RT)の領域では、一般的な治療の均填化と高度治療のセンター化が望まれている。また、ITの進歩で一般的な治療の計画の遠隔支援が緊急時に行われている。しかし、RTの診療プロセスは高精度化により複雑化しており、放射線腫瘍医が非常勤施設でも、常勤施設と同様の対応が必要となっている。【目的】高精度RTに対応した遠隔医療を行うための業務の見える化と安全な支援方法の確立を目的とする。【方法】放射線治療情報システム(RTIS)での業務の見える化について診療過程を分析し、医師、看護師、放射線技師、医学物理士のスタッフが、どのタイミングに業務(情報)をどのような手段(情報機器やデータ)でやり取りしているかを分析した。次に、被支援施設で導入可能性をRTISベンダ交えて検討した。被支援施設の現状とニーズを確認し、RTISの業務フロー内に組み入れるものとそれ以外のものを分けた。組み入れられない場合は代替方法を検討した。その後、被支援施設との間で遠隔支援方法を検討し、被支援施設に実装可能な方法で実装し運用した。【結果】診療過程を分析した結果、業務の一部にリアルタイム対応が必要であることが判明した。支援側施設のレベルを担保するためには、従来の計画の遠隔支援やRTISの確認以外にも、RT部門システムを遠隔監視する方法やWeb会議システムの導入が必要であった。特に、RTIS内に業務組み入れられない場合にはWeb会議の画面共有が有用であった。施設間の遠隔接続方法は被支援施設の情報セキュリティポリシーを採用し、実運用を行った。【考察】複雑になっているRT業務の連続したステップを、患者ごとだけでなく、治療室ごと、さらに施設全体の進捗状況の見える化を遠隔支援するシステムの構築例はほとんどなく、被支援施設内でのより密度の濃い診療情報の共有はと業務のスムーズで安全な実施が可能となった。