[3-A-1-04] JLAC10からJLAC11への移行に向けた整備状況
Clinical data management, JLAC11, JLAC10
臨床データベースが信頼性のあるエビデンスを創出し得る情報化基盤となるためには、収集される個々のデータの妥当性に注意が払われなければならない。
MID-NET事業等で採用されているJLAC10(臨床検査項目分類コード第10回改定版)は、臨床検査項目を検査の材料や測定原理等と組み合わせて表現する柔軟なコード体系が特長であるが、その反面、コーディングされた17桁コードに誤りや不統一を生じ易いことがある。
我々はこれまで、JLAC10に係るコード体系およびコード運用上の課題解決に向けた取り組みを行ってきている。前者については、データ二次利用を見据えた改定版である「JLAC11」が2019年10月に公開された。JLAC10との最大の違いは測定法コード部に表れており、JLAC11では体外診断用医薬品(以下、検査試薬という)を特定し得る。これにより、例えば腫瘍マーカCA19-9では、測定法によって反応性が異なるためにJLAC10では測定値の比較が難しかったことが解決できる。また、測定法コードには検査試薬名称と測定法分類名称とが並記され、JLAC10相当粒度でのデータ分析にも応じられるよう考慮がなされている。
後者については、検査試薬から17桁コードを導く手法を採ることにより、医療機関等で行われるJLACマッピング作業の効率化と精緻化が期待できる。これまでに約5,000品目の検査試薬に対し添付文書に基づきJLAC10/11付番を行うとともに、新製品に対して速やかに付番する運用体制を構築してきている。そのうち標準コード化が特に期待される検査項目(約120)について、検査試薬と対照させたJLAC10/11コードを「臨床検査項目基本コードセット」として公開している。マッピング対象項目の共通化が医療機関等へ拡がることによって、正確で均質な多くのデータが臨床データベースに蓄積されていくことが期待される。