Japan Association for Medical Informatics

[3-A-2-07] 効率的な臨床研究実現のための院内情報基盤活用について 〜職員を対象としたCOVID-19抗体検査研究実施手法〜

*Masamichi Ishii1, Hironori Ishiwari1, Kengo Miyo1, Akihito Tanaka1, Yusuke Oshiro1, Shinji Kobayashi1, Mitsuru Ozeki1, Maki Konishi1, Shohei Yamamoto1, Tetsuya Mizoue1, Wataru Sugiura1, Norio Oomagari1, Haruhito Sugiyama1 (1. NCGM(国立国際医療研究センター))

COVID-19, Epidemiological research, Clinical research workflow


【背景】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の中核医療機関である国立国際医療研究センターでは感染管理対策として行われる血中抗体検査を臨床研究に発展させて計四回の経時的抗体調査を計画している。本論では限られた準備期間のなかで既存情報インフラを最大限活用する手法を提案する。【従前手法】臨床研究では研究参加者への研究説明、同意取得、背景情報取得、臨床情報取得とフィードバック及び臨床フォローアップ、匿名化加工、統計解析等のワークフローが要求される。従前では書面で研究説明書、研究同意書を交付し、回収後、内容精査のうえ電子化する手法や、RedCap等EDCシステムにより電子的に臨床情報収集後に検査結果データと名寄せする、検査結果報告書を封書で返送するなど、アナログ手法に一部デジタル手法を組み合わせて実施していた。【提案手法】院内ワークフローシステムのメール機能及び質問票機能を利用して、研究説明書及び研究同意した職員への電子質問票を送信し、検査希望日と併せて背景情報を電子的に回収する。研究参加者のアカウントに電子カルテ上の研究用仮名化患者IDを割り当てて、検査依頼、検査実施、報告データ作成を既存の医療情報システム上で実施する。院内ワークフローシステムにより電子的に検査結果をフィードバックする。【結果及び考察】検査データ、調査票データ用アカウント対応の事前作成により、名寄せ・転記工程が省略可能となりデータベース構築の時間・人的コストが大幅に削減された。電子質問票の作り込みにより回答データが品質向上し整合性検証の負担が軽減した。電子カルテシステム上で研究データが収集可能となり多施設臨床研究における情報収集基盤としての発展が今後期待できる。【結論】本論で提案した院内情報基盤の活用手法により、データ品質確保の上で時間及び人的コストを効率化した臨床研究が実現可能であることが示された。