Japan Association for Medical Informatics

[3-A-3-03] パンデミックとオンライン診療と医療デジタルトランスフォーメーション(DX)

*Hiroshi Kondoh1 (1. 鳥取大学医学部附属病院医療情報部)

COVID-19, Telemedicine, Medical DX


医療DXで遠隔医療は大きな役割を持ち、オンライン診療はその一つである。遠隔医療学会長として世界的な現状から将来像を考察する。オンライン診療は2018年に保険収載されたが、限定された適応・方法、少ない保険点数、電子処方箋の普及の遅れ等からあまり普及しなかった。そこにCOVID-19では患者の感染不安、初診からの適応とFAX処方箋から利用拡大している。これによりオンライン診療の初診時の課題が整理されると思う。今後、希少な神経疾患、新生児心臓血管疾患等で専門医の直接患者アクセス、あるいは、退院患者の再入院対策等で在宅患者への適応が求められる。
 オンライン診療では触診、打診、聴診情報の欠落が問題視されるが、海外では患者が操作可能な聴診器や耳鏡が開発されている。これらは標準的にEMRに接続される。今後携帯型超音波機を含め、医師の遠隔指導で利用可能な機材により情報欠損を補えると思う。訪問看護師の持参、アクセス便利な薬局配置等考えられる。
 一方、オンライン診療の映像、音声の人工知能(AI)利用も、自動問診、顔映像の脈拍計測、リハ映像分析、音声分析が存在する。
 オンライン診療の一部では携帯を生かして日常の症状変化やバイタル、服薬記録、生活記録等の情報収集もある。テレモニタリングも広がり始めている。健康情報の収集と逆に生活指導など「治療アプリ」も生活習慣病対策等に開発されている。EHRと連携して患者の24時間365日のシームレスな情報が得られるようになる。
 COVID-19ではPCR検査待ち患者の重症化も発生した。戦前にできた保健所中心の感染症隔離系に連携するオンライン診療・EHRの必要性がある。また、集中治療分野では重症患者のコンサルテーションに遠隔ICUとEHRが求められている。北欧では国管理のカルテ情報が標準的に電子化され、パンデミックへの迅速な情報収集基盤になりつつある。日本の疫学調査も友人関係中心の資料収集から国としてのシステム化が必要である。