Japan Association for Medical Informatics

[3-A-3-04] オンライン診療の真価

*Iwao Yamashita1 (1. 医)法山会 山下診療所自由が丘・大塚)

COVID-19, telemedicine, telehealth


コロナ禍は医療が持つ意味を問い直すきっかけを与えた。診療の基本である対面診療の中で、患者とふれあい親しく会話することが当たり前であった状況から、医療機関に行き医者と対面することがリスクである状況となり、医療者はどうすべきなのかを突き付けられた形となった。

従来、医療提供者側から見るオンライン診療の活用場面は、通院の手間を省くことでアドヒアランスが向上するというモデルであった。一方、臨床現場では患者側からも様々な気づきがあり、外来診療には大なり小なりAway感を伴っていること、オンライン診療によりリラックスしたHomeで診療を受けられるメリットなどが語られるようになっていた。

コロナの流行が始まると慢性疾患を持った人の受診控えが始まり、また自分がコロナに罹ったのではないかと心配に苛まれる人が続出して保健所機能はパンク状態となった。こうした状況でオンライン診療は積極的な社会貢献ができる可能性を持っていた。通院している患者全員にオンライン診療アプリをダウンロードしてもらい、いざというときに繋がれるSafety Netを整備した。オンラインコロナ相談窓口を開き、個別に不安解消を図った。オンライン診療によって、新型コロナ陽性となった患者の診断・入院をサポートし、無事退院にこぎつけた事例も経験した。こうした経験から、机上では議論に載りにくい価値がオンライン診療にあることが実感された。

国の時限措置はオンライン診療と電話診療を区別しておらず、オンライン診療は低い報酬評価に甘んじている。その結果、多くの医療機関は手間をかけてオンライン診療体制を整えることに消極的となり、いまだに対面診療を促すことしかできないでいる。オンライン診療か対面診療かの二者択一ではなく、両者をフル活用して、危機にも強く、医師患者のコミュニケーションの質向上に寄与する形を模索していく時期であることは間違いない。