[3-A-3-05] Beyond コロナにおけるデータ利活用型 集中治療について
COVID-19, telemedicine, Tele-ICU, ICT
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による重症患者の管理に関して、telemedicineへの期待が高まっている。米国ではERでのトリアージにtelemedicineが用いられおり、患者の安全のみならず、医療従事者の感染暴露のリスクを軽減する事が可能となる。ICUに関してはイスラエルの病院において、AIによるトリアージとTele-ICUの機能を組み合わせたシステムを導入しており、リアルタイムの重症度判定やタイムリーな介入が重症化の予防や労務効率の改善につながると言われている。今回のCOVID-19の世界的な流行により、コロナ感染が落ち着いたBeyondコロナの時代のICU領域においてもTelemedicineの需要が認識されているため、本邦でのTele-ICUやICTの導入は推進されていく事が予想される。
横浜市立大学では、厚労省の補助金を受けて下記の点に留意してTele-ICUの構築を行った。①ユーザビリティの追求 ②他地域や他施設への展開を見越したシステム構成・連携仕様 ③医療安全への配慮 ④運用負担の軽減 ⑤拡張性の確保 ⑥情報セキュリティの確保 ⑦ライフサイクルコストの低減 開発の1番の課題はコストである。医療費が高い米国においては、ITに大きな予算をかけても医療費削減に繋がる可能性がある。本邦で高コストのシステムを運用するには、保険診療として認められて病院経営のメリットを打ち出す事が必要である。システムの保守運用のコストの多くを占めているのが人件費となるため、人件費を削減する一つの方法として、データ利活用による監視体制の自動化があげられる。集中治療室の様にデータリッチな場所におけるデータ利活用は今後の医療発展に欠かせないため、データ標準化を含めてデータの有効活用を臨床現場に導入し、データ利活用型集中治療室の構築を推進していく事が望まれる。