Japan Association for Medical Informatics

[3-A-3-07] COVID-19を契機としたPHR・データ利活用の未来

*Takanori Fujita1,2 (1. 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター, 2. 慶應義塾大学)

COVID-19, PHR, Common Pass, FHIR


COVID-19の対策のためには、各個人の日々の健康状態の把握が重要である。そこで、例えば、日々の体温や症状の把握のために、各都道府県や厚生労働省はLINEを利用した調査を行い、感染者が発生しているリスクが高い集団の予測の資料とするということが行われている。また、PCR検査や抗原検査、抗体検査といった検査による状態把握もあわせてなされている。今後、ワクチンの開発・普及が進めば、その接種状況を示すことが求められる場合も出るかもしれない。
こうした、健康に関するデータを、国際的に確認可能にし、安心な国境往来を実現しようという取り組みが、スイスの国際非営利法人「The Commons Project」と世界経済フォーラムとで推進されている。「Common Pass」というアプリを用いて、各個人のスマートフォン端末に保有する健康情報(検査結果情報)を出入国条件にマッチするかどうか判定し提示するという仕組みである。「Common Pass」はAndroid、iOSそれぞれにHL7 FHIR準拠のPHRとして、データを参照できる仕組みが入っていることを前提としており、これは国際的なPHRの普及に向けた一つのモデルケースとなる可能性も秘めている。「Common Pass」は7月にキックオフの会合があり、東アフリカ共同体、英米での試験運用が進められており、日本でのテストも計画されている。特に日本においては、オリンピック・パラリンピックや万博をはじめとする国際的な大型イベントのなるべく完全な形での開催に向けては、何らかの国際的な往来の円滑化と感染拡大の防止の両立が求められる。
接触確認アプリや位置情報を活用するアプリ等が浮き彫りにした、プライバシーを中心とした法的・倫理的な課題を解決し、感染の抑止と経済活動の再開を両立できるようなデジタルのツールの活用や、データの活用が求められる。本報告では、これらのグローバルでの状況を紹介し、新しい日常/Great Reset後の医療情報のあり方に関する話題提供を行う。