一般社団法人 日本医療情報学会

[3-A-4-03] 日本・スウェーデンにおける医療ビッグデータ・医療データベースシステムの医薬品管理および臨床研究への応用

*八木 達也1,2、青野 浩直1、川上 純一1 (1. 浜松医科大学医学部附属病院薬剤部, 2. カロリンスカ研究所薬剤疫学センター)

clinical big data, clinical database, Swedish National Register System, pharmaceutical management, clinical research


近年、医療ビッグデータや医療データベースシステムを用いた学術研究が発展し、それらの結果が多くの医薬品関連業務を支えている。さらに、国内外においてナショナルデータベースなどの医療ビッグデータが学術研究に利用されるようになっており、北欧諸国ではナショナルレジスターシステムが幅広く公衆衛生や疫学などの保険医療の分野において活用されている。北欧諸国では、各国民のソーシャルセキュリティーナンバー(PIN)が登録されており、国民の生活に関連する登録台帳(レジスター)として管理されている。ナショナルレジスターシステムを用いた循環器、感染症、免疫抑制薬、妊娠と薬などの薬剤疫学・臨床薬理学研究も発展しており、ナショナルレジスターシステムのリアル・ワールド・エビデンスに基づく医薬品関連業務への利活用体制の構築が進められている。
 国内においても複数のナショナルデータベースが運用されている。また、各医療機関や医療団体では、独自の医療情報システムや処方、病名、検査結果等のデータを用いた医薬品情報業務および臨床研究が行われている。医療情報などを用いた『フォーミュラリー管理』や『医薬品安全管理』などの医薬品情報管理業務は、病院管理・経営および医薬品の適正使用に貢献している。さらに、臨床研究から『医薬品安全管理』や『医薬品適正使用』につながるエビデンスが構築されている。医療情報に基づく臨床研究から臨床業務にフィードバックできる体制も発展し、本邦の医薬品関連業務および臨床研究においてもICTの活用は不可欠なものとなっている。
 本シンポジウムで浜松医科大学医薬部附属病院の医療データベースシステム(臨床研究D☆D)やスウェーデンにおけるナショナルレジスターシステムを用いた臨床研究およびその医薬品関連業務への応用について紹介する。