Japan Association for Medical Informatics

[3-B-1-01] 看護領域におけるAI・IoT活用

*Taketoshi Mori1,2 (1. 東京大学次世代知能科学研究センター, 2. 東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻)

Nursing Science and Engineering, Monitoring, Nurse call, Indirect work


看護師は医療者の中でも患者の一番近くに居て,患者や家族とコミュニケーションをとり,観察し,様子がいつもと違うことや異変が起こっていることに注意を払い,気づいたら対応をリードする,いわばチーム医療の中核的存在である.現代医療において,看護師は,患者・家族と医師,他のヘルスケアプロフェッショナルと医師,ときに患者と家族の間を取り持つ役割を果たす.看護においては,臨場性,即時性,非侵襲性・低拘束性が肝要であり,信頼性と信頼感は必須である.また,それらとともにコストエフェクティブネスも重視される.専門知識と高い実行力を持つプロフェッショナルの活動を客観化と直接化(看護職である人が行うことが不可欠なタスク)を底支えするAIシステムの働きがこれからの社会では必ず求められてくる.センサやデバイスがIoTで接続され,それらに基づき機能するAIとともに働く看護プロフェッショナルが一人一人の地域・家庭や施設・病院における生活を支える個別ケアが展開される.そのケアは対処的というより予期的・先回りのケアであろう.技術の進展とともに,長期間常に客観計測していることで,そのデータにより日々の状況の認識・可視化や特異状況の見える化,予見・予防を行えるようになる.もっぱら病態の状態しか見ることができない今の医療・看護から,常時モニタリングするAIと精査する医療者との協調に基づく,ふだんとそことの差異に着目するヘルスケアへとシフトしていく.プロフェッショナルである看護師を取り巻く現状,工学・情報科学と看護学の越境である新しい看護理工学という分野の成り立ちとともに,看護における画像認識,みまもりと行動モデリング,看護ビッグデータ解析の3領域での研究例を紹介する.