Japan Association for Medical Informatics

[3-B-2-06] 疾患領域からみた受療状況とアクセシビリティ評価

*Kikue Sato1, Daisuke Kobayashi2,1, Satoshi Yamashita1, Shintarou Ooyama1, Yoshimune Shiratori1 (1. 名古屋大学医学部附属病院, 2. 神戸大学大学院医学研究科)

Geographic information systems, Accessibility, Patient access area, Diagnosis Procedure Combination, Health policy


背景
地域における医療提供体制を確保するべく医師偏在解消に向けて、疾患領域ごとに医師の必要数を推計するために医療需要を把握するべく患者のアクセシビリティ疾患領域ごとにより詳細な受療状況を現状把握が必要である。
方法
愛知県内の医療機関を受療した2018年度DPCデータを対象に、厚労省が実施する「地域療構想に関するWG 」で検討された領域から、がんでは肺・呼吸器、乳腺、消化器(消化管・肝胆膵)、泌尿器 / 生殖器、心血管疾患では心臓カテーテル手術と外科手術が必要な心血管疾患、脳卒中ではクリッピング術、開頭血腫除去術、血栓除去術等の脳血管内手術、救急医療では大腿骨骨折に該当する手術実績による受療状況を分析した。GISを用いて、これら対象患者の住所地から受療施設までのアクセス時間を算出した。
結果
対象となった施設は、91施設であった。県全体の領域別アクセス平均時間を比較すると、救急医療の大腿骨骨折等が最短で29.3分、次いで脳卒中の開頭血腫除去術29.4分、心血管疾患では心臓カテーテル手術29.8分であった。当該領域においては、60分圏内の患者が90%近く占めるものの住所地医療圏と同一の自医療圏受療率は大腿骨骨折87.1%、開頭血腫除去術73.3%、心臓カテは80.9%であり、医療圏を跨いだ近郊施設に移動していることがわかる。また、自医療圏受療患者率が低かったのは、がんの肺・呼吸器61.9%だった。

また、疾患領域ごとに二次医療圏別のアクセス平均時間を比較すると、心疾患・脳卒中では尾張西部が短く、大学病院が複数存在する尾張東部は全体的に自医療圏受療患者率も低く、アクセス時間も長くなる傾向にあった。
結論
診断群分類(DPC)データから、愛知県内医療施設における疾患領域別手術患者の受療行動におけるアクセシビリティ状況を把握することができた。