一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-2-07] 集中指数(CI: Concentration Index)による中国における医療資源分布の評価

*楊 雨辰1、森井 康博2、藤原 健祐2,3、小笠原 克彦2 (1. 北海道大学 大学院保健科学院, 2. 北海道大学 保健科学研究院, 3. 小樽商科大学 大学院商学研究科)

Concentration Index, Healthcare Resources, Medical Inequality


背景と目的
中国における医療資源の偏在は近年注目されている。前回の研究では、2004年以降、医師等の人的資源の偏在は解消されているものの、医療機関の偏在状況の変化は僅かであることを明らかにした。しかし、医療資源配分に影響すると予想される経済状況との関連性については明らかになっていない。この研究の目的は、中国における医療資源の行政区域間格差と、経済状況の行政区域間格差の関連性を明らかにすることである。
方法とデータ
本研究では、医療資源(医療技術者数・医師数・看護師数・病床数・病院数・医療機関数)と人口数の割合を、当該行政区域の一人当たり可処分所得順に積み上げた曲線を集中曲線と定義した。均等配分線と集中曲線の積分の差の二倍を集中指数(CI)と定義した。CIがとる値の範囲は-1から1であり、CI=0の場合、医療資源の配分状態は地域の間で差がないことを表す。CI>0の場合は富裕地域に偏って配分、CI<0の場合は貧困地域に偏って配分されると表す。データソースは、中国国家統計局により発表された中国統計年鑑(2014~2019)を利用し、31省のデータを抽出した。
結果と考察
2013~2018年の間、中国における医療資源は、医療技術者数・医師数・看護師数のCI>0、病床数・医療機関数・病院数のCI<0だった。年間推移では、医師数のCIは0.051⇒0.068と増加、病院数のCIは-0.046⇒-0.051と減少した。医療関係者数・看護師数・病床数・医療機関数はCI減の傾向を示した。中国における医療技術者の分布は富裕地域に偏った不平等だったが、看護師数では改善する傾向があった。医療機関の分布は貧困地域に偏った不平等であり、その傾向は増加し続けていた。これは貧困地域(主に人口希少地域)の住民が医療サービスを入手するためには有利であるが、医療資源の平等配分を実現には医師の偏在を解消する必要がある。