一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-3-02] MEDIS標準病名マスター、電子カルテとICD

*山本 隆一1 (1. 一般財団法人医療情報システム開発センター)

Standards, Disease Name Master, Electronic Medical Records, ICD


厚生労働省標準である病名マスターは社会保険診療支払基金の下に傷病名マスター検討委員会作業班が置かれ、そこで保守が行われているマスターで、「ICD10対応標準病名マスター」としてMEDISからリリースされており、「(レセプト電算処理用)傷病名マスター」として社会保険診療報酬支払い基金からリリースされている。これらはまったく同じものである。2つの名前があるが、これはこのマスターの用途が多岐に渡ることを示しているとも言える。1つは支払基金からリリースされていることからも明らかなように、国民皆保険制度を支える診療報酬請求の基盤となる傷病名のマスターとしての役割である。皆保険制度を支えるという観点からこれが重要であることは論を待たないが、マスターの役割はそれだけではない。傷病名は究極の診療サマリと言われることもあるが、診療情報を整理分析する上で病名を分析軸にすることができれば有用であることは間違いない。その一方で診療報酬請求に用いられる病名は、粒度や視点の違いで、同じ疾患概念であっても異なる名称が付けられることもあり、概念の近さを正確に表現できているとは限らない。傷病名マスターは作業班長である大江和彦教授の努力もあり、修飾語や同義語の概念を持ち、傷病名あるいはそのコードからも概念間の関係性の把握は可能であるが、より一般的な分析には簡便な方法として分類コードとの紐付けがされている必要があり、このマスターではWHOのICD10の4桁(一部は5桁)と紐付けられている。ICD11では対象概念の増加と分類軸の整理が行われていると理解しており、ICD11との紐付けが行われれば有用性はさらに向上することが期待できる。