[3-B-3-07] 用語集として見たICD-11と国内適用に向けた課題
ICD11, Standard Disease Name Master, Clinical Terminology
2018年にWHOによりリリースされた疾病及び関連保健問題の国際統計分類 (以下ICD) の第11版改訂であるICD-11では、多くの機能的な更新がなされた。中でも大きな特徴の1つとして、それまでのICDのような単なる分類階層の提供から大きく転換し、予め多くの用語を含めるという方針である点が挙げられる。
これはEHRデータとの連携を視野に入れてのことであるが、結果として分類項目として約3万 (章・ブロック)を含む10万を超える索引語に加え、拡張用コード (X章) における 約2万の修飾語を備える巨大な用語集としての性質を帯びることとなった。またこれらをPost-Coordinationの仕組みにて組み合わせることで、任意のレベルでの細かな臨床病態をコーディングすることが可能となっている。大幅に拡充された21章 (症状・徴候・所見)やX章内の解剖用語など、これまで国内で標準コード体系が充実していなかった領域もカバーしていることから、SNOMED-CTを導入していない我が国にとって、臨床病態記載のための用語集となる期待も大きい。
現在、HL7-FHIRの国内導入に向けての議論も進む中、これまで不十分であった領域の標準コード体系の提供がどの程度可能かの分析が重要である。一方、国内導入に向けては、標準病名マスターなど従来の国内標準用語集とのカバレージ関係を十分に把握した上で、適切に統合していくことが医療情報システム上での取り扱いの観点からも極めて重要である。本発表ではこのようなICD-11の国内導入におけるインパクトや課題について、用語集としての側面から紹介する。