Japan Association for Medical Informatics

[3-B-3-08] ICD-11国内適用に向けた日本語化の検討

*Toshio Ogawa1, Takeshi Imai2, Masami Takizawa3, Masayo Komatsu4, Tomoaki Imamura4 (1. 摂南大学, 2. 東京大学大学院医学系研究科, 3. 国際医療福祉大学, 4. 奈良県立医科大学)

ICD-11, WHO, ICD revision, Japanese translation, domestic application


ICD-11は、WHOにより2018年に公表、2019年の世界保健総会で承認され、現在、各国でICD-11の国内適用に向けた様々な準備が進められている。わが国においては、ICD-11の国内適用に向けて、ICD-11の各項目の適切な和訳案の確立が必須であり、そのための体制の整備と作業を早急に実施する必要がある。
 ICD-11和訳案の確立に向けて、過年度研究においてICD-11の和訳対象となる項目の確認と和訳案の確定作業を試行した。ICD-11和訳案作成の対象項目数は、ICD-11のFoundationの全項目である約97,000語と推計された。これらの対象項目に対して、各関連学会に作成を依頼した和訳案を集約したうえで、ICD-10など既存分類の日英対訳なども用いて和訳案確定作業を試行した。この結果、ICD-11日本語化には、異なる和訳案が提示された場合の調整や、慣用的な表現のある程度の統一などが必要であることが明らかになった。
 ICD-11の日本語化は、単なる翻訳作業ではなく、この作業を通じ、わが国においてICD-11の多様な活用を実現することが期待されている。しかしながら、ICD-11和訳案の確立には、慣用的な表現の統一、医学用語との整合性の確保、各関連学会や団体間の調整とコンセンサスの確立など膨大な作業が必要である。また、日本語化作業を通じて明らかになったICD-11の臨床上・学術上の課題の解決に向けてWHOへの提言などを行い、わが国に適した分類となるよう、ICD-11の改訂作業を引き続き行う必要がある。さらに、告示に向けた適用計画に沿って、これらの作業を効率的に実施する必要がある。そのため、ICD-11のわが国での適用に向けて、今後厚生労働省や各学会、研究者がより一層協力して作業を進める必要がある。