一般社団法人 日本医療情報学会

[3-B-4-02] 多職種にとって安全・安心な代行入力の実現に向けて~指示の実施に関わるメディカルスタッフの業務プロセスを含めたタスクシフティングの検討~

*瀬戸 僚馬1 (1. 東京医療保健大学 医療保健学部医療情報学科)

Medical Office Assistants, Task Shifting, Electronic Medical Records


働き方改革の中で、代行入力は重点領域の一つである。先行研究によれば、医師による間接的業務は1日に3時間を超え、中でも電子カルテの操作時間は1時間近くになっており、看過できない負荷である(瀬戸他: 医療情報学 2012; 32(2): 59-63)。他方、代行入力は比較的規模が小さい病院から広がってきた経緯もある(瀬戸他:医療情報学 2009; 29(1): 31-36)。すなわち医師不足が著しい病院が先行的に取り組んできた業務であるから、そこに「安全・安心」の視点を盛り込んでいくのは今後の課題である。特に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では定めのない細かい運用について実務上の一般的見解と考えられる範囲を議論することは、ICTを活用して最適な業務設計を図るという医療情報学のテーマの一つである。
 この一般的見解が現れる場の一つは、医療情報技師能力検定試験の試験問題である。この試験問題を通じて、これまで「麻薬の投与を代行させるべきでない(2016)」「代行入力したものは、"速やかに"承認すべきである(2017 ※医師法第24条の「遅滞なく」より狭めている)」「医師の口頭指示を受けた代行入力は看護師でよい(2012)」ことなどが整理されてきた。
 医師事務作業補助者が代行入力するオーダや診療録の背後には、その指示を実施するメディカルスタッフ、引いてはその医療行為を受ける患者の存在がある。そのプロセスでの「安心・安全」を確保し、より医師がタスクシフトしやすい環境を構築するためにどのような補強を行うべきか、これまで筆者が関わった厚生労働科学研究「医療職種間におけるタスク・シフティング等についての研究」等の成果も踏まえて、本ワークショップで議論していきたいと考えている。