Japan Association for Medical Informatics

[3-C-1-02] 医療機関における国際規格GS1-128シンボル利用での医療材料入力 導入から活用まで

*masaru watanabe1 (1. 宮城県立こども病院)

GS1 Barcode, Hospital Information System, Hospital Administration


GS1での電子カルテ入力を病院で導入する際、パッケージ電子カルテがGS1の対応していないことへの対応にまず注力されがちだが、実際は、病院内の運用マネージメントが重要であった。導入には、物流管理者、手術室、医師、臨床工学技士、看護師、請求事務。それぞれが専門的に行っている既存の運用を横断的に議論しながら再構築する必要がある。また、導入後もマスターの追加などの持続業務があり、システム担当者だけでの導入検討はハードルが高く感じられる。
 宮城県立こども病院では、パッケージ電子カルテをカスタマイズなしでGS1での材料入力を導入してきた。開発コストはかけていない。部門単位で導入を進め、ICU、手術室については、物品シールの廃止によるSPDや医事請求用伝票の廃止による医事の業務負担軽減、また、記録入力の看護負担軽減(SimpleScan)において、記録の充実につながった。小児病院の場合、新生児からの対象があり一般病院よりも多数のサイズの在庫の用意がある。入力において似たような材料が多数表示された電子カルテのリスト入力からバーコードへの全移行は、正確かつ簡単であり現場より評価を得ている。
 導入準備においては、ICU、手術室倉庫内の材料パッケージをコピーしマスター整備を行った。現在、SPDのマスターと電子カルテ材料マスターとを連動させ管理業務時間を抑えることができている。最近、保険請求できない材料へのGS1の添付が増えてきた。これにより、在宅医療での医療材料の提供とそのコストを含めた管理ができると考え、その診療記録への利用を現在進めている。在宅医療の中心となる、診療所や福祉施設などでもGS1が利用される時期が来ている。医療機関でのGS1普及には導入のハードルを下げる必要がある。私たちの失敗を含めた経験が他の病院の教訓となり、多くの医療機関でのGS1導入の一助となることを期待する。