Japan Association for Medical Informatics

[3-C-2-06] 深部静脈血栓症のリスクと発生に関するメッセージングアラートシステムの構築

*Yuki Shiroto1, Kota Torikai2, Rei Noguchi2, Yuichiro Saito2 (1. 群馬大学大学院 医学系研究科 生命医科学専攻, 2. 群馬大学医学部付属病院 システム統合センター)

Medical Alert System, Smartphone, REST, Deep vein thrombosis


【背景・目的】深部静脈血栓症(DVT)は四肢などの静脈に血栓が生じた状態で、術後や長期入院の患者が発症しやすい。その血栓が肺で詰まると肺血栓塞栓症(PTE)を引き起こして重篤化しやすく、院内死亡率は14%とされる。しかし死亡例の40%以上が発症1時間以内の突然死であるため、早期発見と治療により、多くの患者を救える可能性がある。そこで本研究では、DVTの早期発見と対応を支援する汎用性が高いメッセージングアラートシステム構築を目指し、プロトタイプの構築を行なった。

【方法】本システムは、1)患者データを蓄積・読出するデータベース、2)アラート送信するソフト、3)アラート受信端末、4)全体をREST APIで接続するソフト、で構築した。アラート対象患者は、DVTおよびPTEに関するガイドラインに基づき、年齢と手術自体のリスクに加え、DVT/PTEの既往歴や血栓性素因、長期臥床、肥満などの付加的な危険因子をリスク強度に応じて点数化し、総合的な判定指標を算定して抽出した。

【結果】上記基準に基づき、実際の患者データからアラート対象患者を判定・抽出し、院内Webページに患者情報を一覧表示する機能および、そのURLをモバイル端末に平均0.2秒程度で送信可能な即時性の高いアラート機能を有するシステムを構築できた。モバイル端末側では、受信したアラートに含まれるURLから、当該Webページを参照できることを確認した。なお本システムは、Androidの通知機能を利用したアラート形式とチャットアプリで受信するチャットメッセージ形式の2種類の通知系統形式を持っている。

【考察・展望】本システムにより、DVT/PTE発症リスクの高い患者を早期に発見・通知し、適切な予防策や治療を迅速に行える可能性がある。今後は、本システムの自動化と実際の入院病棟において動作試験を行い、抽出患者の妥当性、機能・性能の評価を行う。