Japan Association for Medical Informatics

[3-C-3-02] IoTデバイスを活用した位置測位技術は看護師の職場リスクを低減できるか

*Keiko Yamashita1, Shintaro Oyama1, Chiaki Funada1, Satoshi Yamashita1, Kikue Sato1, Taiki Furukawa1, Aki Sugano1, Daisuke Kobayashi1,2, Hiroshi Tomozawa3, Yuji Sakamoto4, Yoshinori Ideno4, Yoshimune Shiratori1 (1. 名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター, 2. 神戸大学大学院医学研究科 医療システム学分野, 3. サトーヘルスケア株式会社, 4. 株式会社ケアコム SMILEユニット)

Internet of Things, human behavior recognition, hand hygiene, Bluetooth Low Energy


【はじめに】看護師は出勤しているが心身不調のために労働遂行能力が低下している状態(プレゼンティズム)の割合が他職種より多く、その状態での業務のミスが医療事故の要因になるという報告もある。位置測位はヒト・モノを定常的測位することができ動線を可視化することが可能である。本研究では、IoTデバイスを活用した位置測位手法により、プレゼンティズムや医療事故の要因となる看護行動の特徴量を抽出することを目的とした。

【方法】当院はAngle of arrival(AoA)方式Bluetooth Low Energy (BLE)位置測位システムを導入しており、BLE信号の発信源の高精度位置測位を行うことが可能で、手指衛生実施状況や注射実施等の看護行動の実施場所や滞在時間(患者対応有無の時間で分類)をモニタリングした。位置測位可能なビーコン装着し、歩数情報から移動距離を算出した。注射実施状況は、位置測位システムと電子カルテのオーダー実施のタイムスタンプを突合させて実施場所と時間を記録した。

【結果】手指衛生状況について、自動で定常的に手指衛生実施者の場所、実施回数と滞在時間を可視化することができ、訪室回数、滞在時間から手指衛生実施率(滞在時間10秒以内31%、30秒以上80%)を算出した。看護師の移動距離等、業務動線を可視化することができた。

【考察】手指衛生モニタリングは、訪室回数と実施状況を定常的に観察することができ、入室前タイミングの実施率を向上させることが効果・効率的な手指衛生実施であり感染の水平伝播抑止に有効であると考えられる。注射実施について、注射の種類により本来実施すべき場所での状況を把握することにより、インシデントを減らすことにつながると考える。IoTデバイスを活用した位置測位技術は、看護業務におけるインシデントにつながる原因の究明にも寄与する可能性があると考える。