Japan Association for Medical Informatics

[3-C-4] Inside OHDSI (世界最大のRWDネットワーク、オデッセイの内側)

*Tatsuo Hiramatsu1, Eizen Kimura2, Masafumi Okada3, Yoshihiro Aoyagi4 (1. 国際医療福祉大学, 2. 愛媛大学医学部, 3. IQVIAソリューションズジャパン株式会社, 4. 国立がん研究センター東病院)

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OHDSI(Observational Health Data Sciences and Informatics、オデッセイ)は、共通データモデル(Common Data Model)に準拠したデータベースを参加機関が構築し、大規模な観察医療データ分析を推進する、国際的なオープンサイエンス活動である。重複を除いて推定6億人の患者記録をカバーする世界最大のRWDネットワークを形成しているが、どこか中央に6億人のデータがあるわけではなく、世界各地に分散したデータがあり、それぞれの管理者が連携する、インターネットに似たところがある仕組みである。ただしサーバを公開するわけではなくデータを意図せず使われることはない。各医療機関がもつ医療データをOHDSI対応することで、データは手元においたまま自院で管理活用しながらOHDSIの一部として連携活用もできるものである。
 今回のワークショップでは、最初に全体紹介としてOHDSIの概要を紹介したのち、OHDSI内側の技術情報へ踏み込む。まず中心規格であり際の利用経験を通して改良を継続してきたOHDSIのデータ形式(OMOP-CDM)がある。用語コードについては、世界中の膨大な標準コード集を集約整理し、階層構造や関係性をもつ700万語以上からなる「ボキャブラリ」としてまとめており、OHDSIを最も特徴づけるものとなっている。さらに様々なツールを誰でも自由に利用できるようにGitHubで無料公開し、これまでの活動の叡智を集約した共通の仕組みでOHDSIへの参加が可能である。
 ワークショップの最後では、実際にOHDSI対応に各医療機関が取り組むにはどのようなステップでできるのか、自院のデータを共通データ形式化したら何ができるのかを解説に基づき議論する。これにより医療機関等の医療データを持つ方々が、自分たちの取り組みとしてOHDSIを捉えてもらえることを目指したい。