OHDSIにおいて維持される最も重要なコミュニティリソースの一つにOMOPコモンデータモデル（OMOP-CDM）がある。OMOP-CDMは語彙の標準化と合わせて利用することで、取得されたデータを一定のフォーマットに落とし込むことが可能である。OMOP-CDMは元来、薬物、処置、デバイスなどへの暴露と、疾病状態や検査値などの結果との関連を分析することを目的としているが、最近では人口統計情報、疾患の自然歴、医療の提供、費用対効果、罹患率などのさまざまなパラメーターに対する患者集団の特徴付けや分析のユースケースにまで拡張されている。上記の目的を達成するために、OMOP-CDMの基本コンセプトとして、分析可能なデータセットであること、ドメインを軸にした分析のユースケースが提供されること、患者を起点としたリレーショナルデータベース設計であることなどが挙げられている。また、データの透明性を保つために、処理されたデータとともに元のデータが維持される。ETLを行う際には個人情報保護の観点から分析に不要な個人の特定に関わるデータへのアクセス制限も考慮することでデータ保持者と利用者の双方に利点のあるデータモデルとなっている。また、テクノロジーの中立性やスケーラビリティ、後方互換性に配慮された開発が行われている。本発表ではOMOP-CDMにおけるデータ格納の際の基本的な考え方やデータ構造を理解するための一般的な規則や標準的なテーブル構造について述べる。