[3-C-4-04] 自院のデータをOMOP化しよう
common data model, data analysis, real world data
医療データを分析用の共通データ形式(OMOP-CDM)に変換することで、いくつもの利点が得られる。活用に関してコミュニティから専門家のアドバイスが得られる、データの由来が異なっても同じ問い合わせ操作ができる、OHDSI無料ツールが使える、他院と協力して連携や比較ができる、しかも地域が限定されないので地域医療連携から国際的医療ビッグデータ研究まで幅広く応用できる、などである。
OMOP-CDMへ変換するには、いくつかの方法がある。まず最も簡単なのは、既存のツールを使うことで、国内においてはレセプトファイルなどの決まった形式からの変換用にツールが用意されつつある。現状のツールはPhenotyping研究プロジェクト用に開発したもので、レセプトとは別に、検体検査の結果値も取り込めるようになっている。一方、決まった形式ではないデータからの変換には、OHDSIの補助ツールがある。変換はデータ形式だけでなく、使用する用語コードの共通化・標準化が必要であり、データ形式よりもこちらの方が大変な作業となる。OHDSIにはそのための補助ツールが用意されているが、OHDSI Japanでは日本国内向けにもっと簡単に行える方法も準備している。
医療機関など医療データを組織内で利用できる団体であれば、これらの手段を活用できる。OHDSIでは連携活動においても医療データを外部に出す必要はなく、取り組みやすい仕組みになっている。とはいえ実際に推進するには、様々な課題が生じる。たとえば、元データは何を用意すればよいのか、一般に病院ではどこにあるのか、どうやって取り出すのか。業務利用と研究利用とでは、院内での実施許可のとり方も、個人情報として適用される制度も異なるものになる。これら想定される課題と解決法について、議論のためのたたき台を示す。