[3-D-1-01] 適切な薬物治療に必要な病院情報システムの機能とは
Drug safety, Order check, medical information systems, functions
【目的】医薬品を安全に使用するためには、医薬品関連の教育指導など人的対策だけでなく、情報システムの活用が不可欠である。特に情報化の現在、医療情報システムへの期待は大きい。そこで今回、医薬品関連の安全性に関する情報を調査し現状を把握したうえで、適切な薬物療法に必要な病院情報システムの機能について考察し提言したい。
【方法】医薬品関連の安全性に関する情報として、日本医療機能評価機能 医療事故情報収集等事業の薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業より発行される「共有すべき事例」を用い分析を行った。また、処方関連のチェック機構に関する検討を行うため、この「共有すべき事例」の中で疑義照会を中心に処方内容に関連する事項を抽出し分類・整理した。さらに、これらを防止するために必要な機能について検討した。
【結果】公開されている薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業「共有すべき事例」では、2015年1月から2020年5月までに、246件の事例が紹介されている。このうち、疑義照会に関するものが124件(50%)、調剤に関するものが105件(43%)と続いた。また246件の事例の中で、疑義照会を中心に処方内容に関連するものは、122件であった。この内訳として、薬品の履歴確認に関するものが34件(28%)、病名・年齢などとの禁忌に関するものが20件(16%)、薬品間の相互作用に関するものが19件(15%)、と続いた。
【考察】調査した結果、病名などとの禁忌に関するもの、抗がん剤や骨粗しょう症治療剤などの投与スケジュール(休薬期間)が必要なもの、薬品の漸増・漸減など細やかな用量調節が必要なものなどがあげられ、従来の一般的な病院情報システムにおける処方チェック機能では対応できないものがあった。さらに、アレルギー情報だけでなく、副作用歴の管理が必要なことも明らかとなった。