Japan Association for Medical Informatics

[3-D-1-03] 重大診断情報伝達漏れ防止システムの有用性の検討

*Yuji Tani1, Tatsuya Hayashi2, Tatsuya Iwata2, Hiroyuki Hirokawa1 (1. 旭川医科大学 旭川医科大学病院 経営企画部, 2. 旭川医科大学 旭川医科大学病院 医療安全管理部)

Hospital Information system, Medical Safty, Prevention of oversight, Diagnostic reports


【目的】近年,画像検査や病理検査の結果レポートの見落としなどが全国的に問題となっている.本学でも同様の事例が数件報告されている.これらの防止を目的とし,(株)医用工学研究所とともに「重要事項伝達漏れ防止システム(AiR:AMU Information Rescue)」を共同開発(特許出願中)し,2019年12月より臨床利用を行っている.本研究では,AiRの導入効果を明確にする.

【方法】対象はおよび期間は,AiRが全診療科を対象に稼働した2019年12月より2020年6月までの放射線読影レポートおよび病理報告書情報とした, AiRでは,各報告書の確認・伝達状況を4種類(未読・既読・説明済・承認)のステータスを用い管理しており,ステータスの進捗状況により,電子カルテシステムログイン時と患者個別カルテ展開時にアラートの表示を行っている.本研究では,各ステータスへの推移期間を時系列で観察することにより,AiRの有用性を検討する.
【結果および考察】本学では,2018年11月に過去5年間分の調査を行った結果,患者予後に大きく影響するものはなかったが画像検査で7%の伝達漏れがあった.その後,紙リストによる確認作業を経て,以前より開発を行っていた本システムがトライアル後の2019年12月に本格稼働した.当初の2019年12月検査分の未読期間は,病理報告書が平均55日(224件),読影レポートが114日(541件)であったが,半年後の2020年5月検査分では,病理報告書が平均8.65日(275件),読影レポートが9.62日(556件)と大きく改善され,説明済までの期間もそれぞれ157.07日から15.17日, 154.22日から12.7日へと同様の傾向を示しており,AiRが有効に機能していると考えられた.今後はさらに詳細な分析を加え改善点の洗い出しを行っていきたいと考えている.