Japan Association for Medical Informatics

[3-D-3-04] Electronic Medical Records の医薬品の臨床試験における原資料としての適格性

*Masatoshi Tanigawa1, Kenichi Nakano2, Hideto Yokoi1 (1. 香川大学医学部附属病院 医療情報部, 2. eClinical Forum)

electronic medical record, clinical trial, eSource, pharmaceutical


[背景] 本邦の医療機関における医療情報システムは “e-文書法” および 厚生労働省の “e-文書法省令” を踏まえた「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下,ガイドライン)の準拠によって,医療情報の電磁的記録(EMR)の信頼性を担保する管理システムとしての役割を果たすことが期待されている.さらに, EMRは医薬品の臨床試験の原資料としても活用されている.原資料としての要件は「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」等で規定されるが,EMRについてはガイドラインを遵守することでその要件を満たしていると見做されているのが実情ではないだろうか?

[方法] 日米欧3極の規制等で示された臨床試験の原資料としての標準的な要件を基にeClinical Forumが作成したeSourceのチェックリストを用いて,ガイドラインに対応したEMRの原資料としての適格性を評価した.

[結果] チェックリストの全35件のうち,その要件を十分に満たさなかったものが16件あった.EMRシステムからプリントアウトしたコピーデータの真正性の検証,臨床試験の盲検化の維持対応,EMRシステムのライフサイクルにおけるコンピュータ化システムバリデーションや運用手順と機能の検証などが不足していた.

[考察] ガイドラインはEMRの主体である患者への情報管理の安全性に関する説明責任を果たすためのリスクマネジメントが主体であるため,EMRの原資料としての適正に利用するためには,薬事に係る規制当局への説明責任を意識したEMRシステムの管理を行い,薬事規制上の要件に適合させる必要があると考えられた.特に,EMRをEDCシステム等に対して相互運用可能なデータ連携を行う場合には,より高い適格性が求められることになるであろう.

[結語] 薬事規制を踏まえたEMRシステムの管理体制の付加による医薬品に係る臨床試験の質の向上が望まれる.