Japan Association for Medical Informatics

[3-D-3-05] 大学病院の薬剤部門で厚生労働省標準規格(HS027)実装後の課題

*Wada Yoshihiro1,2, Ikeda Kazuyuki1,2, Tamamoto Tetsuro2,3 (1. 奈良県立医科大学附属病院 薬剤部, 2. 奈良県立医科大学附属病院 医療情報部, 3. 奈良県立医科大学 放射線腫瘍医学講座)

Prescription, Ordering System, Standard Conformance


【はじめに】当院では、2019年5月の電子カルテシステム更新に伴い厚生労働省標準規格を用いたシステムの構築を推進した。処方オーダにおいても、厚生労働省標準規格(HS027)である処方・注射オーダ標準用法規格(以下、標準規格)を実装したシステムを構築した。更新前の用法マスタを精査し、標準規格に準じたマスタを作成したが、電子カルテシステム更新後に要望や問題があった用法マスタおよび標準規格における用法のコード(以下、用法コード)のマスタ設定の問題点を報告する。【方法】システム更新後に要望があった用法を医療情報部および薬剤部にて精査し、新たに用法マスタの追加を検討した。また、用法コードの設定における電子カルテシステムの問題点を調査した。【結果】システム更新後、新たに追加した用法マスタの件数は69件であった。内訳は、内服24件、外用41件、自己注射4件であった。用法コード設定の問題点では、服用時刻を1日2回以上の複数回指定する際にマスタ設定ができないなど、現在の電子カルテシステムの機能では標準規格を全て利用することは困難であった。【考察】標準規格に準じた用法マスタに変更後、診療に大きな問題は発生しなかった。しかし、服用時刻を明示した内服薬の用法や、貼付薬における入力間違え防止のための用法の追加が診療上必要であり、用法マスタを設定する際には注意が必要と考える。また、電子カルテシステム更新の基本要件としてパッケージシステムであることを原則としたが、現在のマスタ構成では、標準規格に対応することは限界があり、新たなマスタ構成と対応が必要と考える。【結語】処方・注射オーダ標準用法規格は、2018年5月の認定であり、実装実績のある施設は少ない。今後、多くの施設が標準規格を実装するためには、標準規格における用法の構成やコード形態に対応したマスタ構成の電子カルテシステムが必要である。