Japan Association for Medical Informatics

[3-D-4-03] 死因統計の精度と効率性の向上に向けた我が国の原死因確定課題の抽出

*Tomoya Myojin1,2, Hitomi Oigawa4, Rina Kagawa3, Tomoaki Imamura1, Takeshi Imai5 (1. 奈良県立医科大学 公衆衛生学講座, 2. 奈良県立医科大学 病理診断学講座, 3. 筑波大学医学医療系 医療情報マネジメント学, 4. 奈良県立医科大学 MBT学講座, 5. 東京大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター)

ICD-11, Auto coding, Causes of death, Underlying Cause of Death, ICD-10


【背景】日本では益々人口減少・高齢化の進展が予想されるが、今後のICD-11導入に際し死因統計の正確性の担保・より一層の効率性向上を図るためには、現行の原死因確定プロセスの課題を抽出することが重要である。これまでのヒアリング調査で、オートコーディングツールを利用した現行の原死因確定ロジックでは、死亡票の約4割に対し目視確認が必要であることが判明しているが、実データに基づく詳細調査は未だ十分に行われていない。
【目的】死亡票・死亡個票実データを用いて、現行の死因確定プロセスにおける課題点についての調査を行う。
【方法】人口動態調査票情報の提供を受け、平成27年~30年の死亡票・死亡個票を対象とし、結合処理を行って基礎的な統計量を得た。また、オートコーディングツール処理の結果、目視確認が必要とされた死亡票の一部を抽出し、目視確認の原因や原死因の変更について調査を行い、原死因確定への影響について推計を行った。
【結果】死亡票と死亡個票の結合処理(結合率99%)により得られた約520万件のうち、何らかの付帯情報(傷病名以外の、手術や解剖所見・備考欄・外因死の追加事項など)が含まれていた割合は約3割であった。また目視確認に回る理由は付帯情報がある場合以外にも、死因をICD-10コードに変換できない、死因に病名以外の外因が含まれている、などの場合が存在していた。目視確認の対象となる死亡票は全体の約3分の1程度で、そのうち原死因が変更になる割合は約10分の1程度であると推定された。
【考察と結論】実データを用いて現行の原死因確定ロジックの課題を明らかにした。ICD-11導入にあわせ、より高精度で効率性の高いロジックの開発が必要であるが、このためには自然言語処理による病名正規化処理と、原死因変更の有無を高精度に予測する機械学習アルゴリズムが有効と考えられた。今後はこの開発を進めていく予定である。