Japan Association for Medical Informatics

[3-D-4-06] 歩数増加のための目標設定支援・自動フィードバック機能を強化した自己管理支援ICTシステムの開発と有用性の検討:血圧高値の労働者を対象とした前後比較試験

*Tomomi Shibuta1, Kayo Waki1,2, Kana Miyake1, Akiko Sankoda1, Aki Hayashi1, Ayumi Igarashi3, Noriko Yamamoto-Mitani3, Yoshinori Takeuchi4, Masahiko Sumitani5, Kazuhiko Ohe1,2 (1. 東京大学医学部附属病院 企画情報運営部, 2. 東京大学大学院医学系研究科 医療情報学分野, 3. 東京大学大学院医学系研究科 高齢者在宅長期ケア看護学分野, 4. 東京大学大学院医学系研究科 疫学・予防保健学分野, 5. 東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部)

Blood Pressure, Self-control, Self-efficacy, Smartphone, Walking


背景・目的:ICTを用いた生活習慣病の運動療法支援では、限られた人的資源でいかに効果を出すかが課題である。本研究では、社会的認知理論を基に、歩数を増やすための目標設定支援・自動フィードバック機能を強化したICTシステム (DialBetics Step) を開発し、介入の有用性を評価した。
方法:自己調整を支援し自己効力感を高めるための機能として、歩数等の記録 (既存機能) に加え、歩数の目標設定、歩数・健康データへのフィードバック、アクションプランの作成、バリアの特定・解決策の検討の機能を開発し、情報提供機能とともに既存システムに実装した。首都圏にある企業の従業員 (収縮期血圧≧140mmHgの者) のうち歩数を増やす意向がある者を対象に、前後比較試験を実施した。集団教育の後、参加者はシステムの記録機能 (歩数、血圧 (2回/日)、体重 (1回/日)、食事) のみを2週間 (ベースライン、T0)、その後、全機能を24週間利用した (介入期間)。プロセス指標として各項目の測定・記録割合を算出した。アウトカム指標の主要評価は、介入期間開始から6週間の時点 (T1) に実施し、歩数 (主要評価項目)、自己調整、自己効力感、身体指標 (家庭血圧・BMI等) の変化を評価した。
結果:30名 (男性19名、年齢53±5歳、収縮期血圧148±17 mmHg) を分析対象とした。測定・記録割合の中央値は就寝前血圧を除く全項目において90%以上であった。T0と比較し、介入期間第5~6週の平均歩数は統計学的に有意に増加し (10,099 vs. 11,538歩/日、p < 0.01)、介入終了時 (T2) にも維持されていた。T1・T2の両時点で、有意に自己調整の実施頻度が上昇しBMIが減少した。また、T2のみで有意に自己効力感が上昇し家庭血圧が低下した。
考察:DialBetics Stepを用いた介入は歩数を増やすのに有用である可能性が示唆された。