Japan Association for Medical Informatics

[3-E-1-01] SDMを用いた分析モデルの相互互換性の検証

*Hideo Suzuki1 (1. SDMコンソーシアム)

Semantic Data Model, Mutual Compatibility, Data Warehouse


最も迅速性が求められるCOVID-19関連のデータ収集が難航している状況を見ると、あらためて標準化が重要であることに気づかされる。また疫学的調査のみならず、治療薬、ワクチンなどの臨床試験においても、多くの医療機関が協力することができれば、開発期間の短縮が期待される。SDM(Semantic Data Model:一般社団法人SDMコンソーシアム)は、医療機関ごとに保存されているデータを効率的に利活用することを目的として開発されたDWH(データウエアハウス)モデルである。SDM導入におけるメリットの一つは、ある医療機関で開発された分析が他の機関においても利用できることにある。この相互互換性が保証された場合には、各医療機関のデータを一か所に収集しなくとも、各機関で分析された結果を収集することで、大規模分析と同等の効果が得られる。すなわち同時並行的な臨床試験により期間を大幅に短縮することも可能となる。

 SDMはRDB(リレーショナル・データベース)を前提としているが、その理由は、オープンソースを含め多くの製品が普及している点である。またRDBの多くは、宣言型言語のSQLに対応しており、透過的なDBアクセスを可能にするSQL/CLI(Call Level Interface)を有している。このRDBに備わった標準インターフェースを用いることにより、SDMに共通な分析モデルを開発することが可能となる。

 そこでSDMコンソーシアムとして、異なったRDB上で開発されたSDM間において、特定のBI(Business Intelligence)ツールにより作成した分析モデルの相互互換性があるかどうかの検証を行った。その結果、SDMのバージョンの差、および接続先のデータベースとの粒度の差に関する影響はあるものの、ほぼ変更することなく稼働することが確認されたので、検証結果について報告する。