Japan Association for Medical Informatics

[3-E-1-03] Society5.0時代のDWH像

*Eizen Kimura1 (1. 愛媛大学医学部医療情報学講座)

DWH, SDM, Common Data Model


Society 5.0の社会像として、IoTで全ての人とモノの様々な情報がリアルタイムに共有され、AIにより分析され、自律行動も可能なロボット・ドローン・車によるロジスティクスの進化によって、一層の健康・安全に寄与する社会基盤が描かれている。この社会像は、これまで以上にデータが幅広く・リアルタイムに収集・活用されることが前提となっている。これまでの医療情報学は院内の兵站に主眼が置かれていたが、これからは外界、それも海外まで開かれたデータ活用に向けてDWHの再設計が必要な時期に来ている。COVID-19が世界中に感染し8月時点で総死者数が70万人を越えるといった、公衆衛生領域において一つ運命共同体となりえ、迅速な情報共有の必要性が改めて認識された。
 具体的にDWHに求められることは、リアルタイムのAI介入と、世界的なサーベイ、臨床研究の加速への対応である。前者は既に医用画像分野で始まっている。当院でもCOVID-19のAI画像診断支援システム導入を検討しており、稼働すればPACSから随時外部サービスに画像が送信され判定を受ける。後者はOHDSIというプロジェクトがOMOP CDMという共通構造を持つデータベースを各医療機関に導入させ、組織横断的なクエリと個人情報に配慮して集計処理を中心とした匿名加工を通しての大規模サーベイを実現している。
 このような時流に乗るには、これまでのメッセージや文章をアーカイブする手法の標準化から一歩進んで、リアルタイムにデータを交換するためのAPIや、入院期間、手術前後の期間、累積処方・治療実績、検査値の傾向といった、動的に算出される指標の算出アルゴリズムやクエリを標準化し、あらゆる箇所(院外も含む)で再利用可能なロジック構築に寄与することである。当院で導入を進めているSDMとミドルウェアに関する構想を紹介し、今後の方向性について説明する。